電子タバコ=VAPEを初めてみたい! と思ったときに、初心者向けと言われる入門キット(スターターキット)の多いこと多いこと。いったいどれを選べばいいのか、とにかく迷ってしまいます。私自身、ネットで調べてもどこまでが広告(営業)で、どこまでがレビューなのか、上級者がオススメしている初心者向けキットは本当に使いやすいのか、などなど、迷うことだらけでした。これからVAPEをはじめてみたいとお考えの方に、初心者・消費者目線で、どんなスターターキットがお奨めなのかをご紹介してみたいと思います。
まず、スターターキットをご購入される前に、店頭で、実際に吸ってみることをお奨めします。お試しで安いものを購入しても、安かろう悪かろうで、買ったはいいもののすぐに使わなくなる、という恐れがあります。ある程度以上の機材を使って試してみて、美味しいと感じられるようでしたら、そこで初めてご自身の機材を購入された方が、間違いないかと思います。友人に吸わせてもらうというのもひとつの手だと思いますが、味や香りの好みが違う可能性もありますので、様々なフレーバーを試すことができる、店頭でのお試しをお奨めします。お好みのリキッドが見つかって、VAPEいいじゃん! と思ったところで、初めてスターターキットの購入をご検討ください。
どうしても、住んでいる場所の関係上、お店で試すことができないという場合、スターターキットと一緒にリキッドもお試し無しで購入せざるを得ない状態になるかと思います。その場合、万人にお奨めできるリキッドとしては、SNOW FREAKSの「TITANIUM ALOE」が挙げられます。これが嫌い、気に入らないという方にはあまりお会いしたことがありませんので、どうしてもお試しできない場合は、まずはこちらをお試ししてみることをお奨めいたします。
さて、肝心の、どのスターターキットを選ぶのか、というところですが、ネットの情報だけでなく、実際にいくつかのお店でお話を伺ったり、使わせていただいた限りでは、温度管理が利用できるスターターキットか、単機能で出力が小さめなスターターキットをお奨めします。
「初心者でも簡単に爆煙」という言葉を頻繁に見かけますが、温度管理の無い爆煙(出力が高い)スターターキットでは、初心者ではコイルを焦がしてしまう可能性があります。温度管理というのは、リキッドを蒸発させているコイルの温度を監視することで、設定した温度を超えそうになった場合には、それ以上電流を流さないように制御するものです。これによって、事前に設定した温度を超えることが無く、コイルが焦げてしまったり、激しく煙が出てきすぎてむせてしまったりすることがなくなります。
また、温度管理をしておくことで、電池やリキッドの持ちが格段に良くなりますので、何気に高いランニングコストや手間を抑えることができます。言葉だけ聞くと何やら難しそうにも感じてしまいますが、特に細かい設定をするわけではなく、吸いたい温度を設定するだけなので、使い方も難しくはありません。
とは言え、iQOSやPloom TECHのように、説明書も読まずすぐに使えるか、というと、そうもいきませんので、とにかく簡単に吸えるものが欲しい、という方であれば、単機能で出力が小さめなものを選ぶ必要があるかもしれません。一番簡単に使えるのは、リキッドを入れて、口から吸うだけの、単純なスターターキットです。EleafのiCareという商品がお奨めです。
この電子タバコは、ちょっと大きめのUSBメモリくらいの大きさしかなく、持ち運びにも便利で、小さい割にはそれなりに味もしっかり出ますので、気軽にちょっとVAPEを試してみたいという方にはお奨めのスターターキットです。
ただし、電池容量が少なく、普通に吸っていると、半日程度で電池が切れてしまうため、充電が必要になることが難点なのと、どうしても出力が小さいため、煙の量が少ないこともマイナスポイントであると言えます。
もう少し容量が大きく、調整は効かないものの、しっかりと煙が出るスターターキットとしては、JoyetechのeGo AIO(All In One)というスターターキットがお奨めです。
こちらは、電池容量も十分にあるため、普通に吸っても1日は余裕で持ちますので、寝るときに充電しておけば、翌日1日ずっと吸っていられます。また、煙の量も十分に出ますので、最初にVAPEをはじめてみたいという初心者の方にお奨めのできるスターターキットと言えます。
iCareやAIOも、とても良いスターターキットだとは思いますが、一体型のため、アトマイザーと呼ばれる、リキッドを保持する部分を外して洗えないことや、そのアトマイザーを付け替えることができないこと、出力を変更できないので、煙の量をもっと増やしたいと思ってもできないことなどが難点として挙げられます。また、冒頭にお話した、温度管理ができないということも残念なところです。
今後、ずっとVAPEを続けていきたいという気持ちがあるようでしたら、私もそうだったのですが、すぐに温度管理ができる、アトマイザーとMODが分離されているタイプのものを購入するハメになってしまうと思いますので、最初からそのような機種を購入されることを強くお奨めします。私も、オールインワンタイプのものを購入した直後に、温度管理付きのスターターキットを購入してしまいました。。。
【電子タバコ初心者向け温度管理機能付きVAPEスターターキットの選び方】
単機能で出力の小さい、小型で簡単なスターターキットであれば、iCareやAIOを買っておけば間違いないと思います。しかし、温度管理機能付きのものに関しましては、選ぶ際に考慮すべきポイントがいくつか考えられます。少し長くなってしまいますが、考慮すべきポイントをいくつか挙げた上で、最終的にどのスターターキットがお奨めなのかをご紹介してみます。
まず最初に、電子タバコの構造についてご紹介します。大雑把に分けて、電子タバコ本体は、MODと呼ばれる充電池を含む電子回路の部分と、アトマイザーと呼ばれるリキッドの噴霧装置部分に分けられます。MODもアトマイザーも各社から発売されていますが、現在は概ね「510」という規格で接続されています。「510」や「eGo」という規格名が付けられていた場合、他社のMOD/アトマイザーと接続して利用することもできると覚えておいてください。
私は、この510規格を利用してMODとアトマイザーとに分けられているスターターキットをお奨めします。MODとアトマイザーとが一体型になっており、使いやすいように見えるスターターキットもあるのですが、片方が壊れてしまった場合、スターターキット全体を購入し直すことになってしまいますし、今後新しい機器を買い足して、VAPE上級者に向けて成長していける機会を失ってしまうことにもなります。電子タバコにおいて、美味しい煙を吸おうと思ったとき、実は重要な要素となってくるのはアトマイザーです。アトマイザーを買い足して、ステップアップしていくためにも、MODとアトマイザーとが別々になっているものを選択しましょう。
MODには、バッテリー内蔵のものとそうでないものがありますが、これはどちらを選んでも構いません。とは言え、バッテリーを内蔵していないモデルを購入する際には、お店の方に相談の上、安全に利用できるバッテリーを購入してください。通販を利用される場合など、相談が難しい場合は、バッテリー内蔵のものを選んだ方が、事故は起きないかもしれません。
さて、MODはそれぞれ、利用できる抵抗値と出力の取れる範囲が決められています。例えば、爆煙を出したいと思った場合、サブオームと呼ばれる、1Ω(オーム)以下の抵抗を利用しなければなりませんが、ひと昔前のMODでは、1Ω以下の抵抗を着けても、正常動作しません。また、利用できる抵抗値範囲が十分であっても、煙を出すための出力が弱いと、十分な煙が出てこなかったりしますので、30W程度以上の出力を出せるMODが必要になります。
また、温度管理を行ってくれるのもMODです。設定できる温度の範囲も決められていますので、自分の吸いたい温度を設定できる機種を選ばなければなりません。概ね、180度から250度くらいの間で設定することが多いかと思いますが、実際にお店で吸ってみて、自分の好みの温度があるようでしたら、その温度に設定できるものを選んでみましょう。機種によっては、温度が固定になっているものもありますが、その温度が自分の好みの温度なようでしたら、問題ないかと思います。
後は、実際に利用する際のデザインに大きな影響を与えるのもMODです。大きく分けて、ペン型とBOX型のものがあります。
ペン型のものは、アトマイザーと一体になって、万年筆のようなデザインになっていることがほとんどです。一方、BOX型の方は、箱型になっているMODにアトマイザーを接続して利用しますが、VAPE独特の形と言えるかと思います。充電池と制御用のユニットとを組み合わせたものがMODなので、高機能なMODはBOX型であることが多いですが、ペン型のスターターキットでも、温度管理ができるものも存在しています。機能的に十分であれば、どちらを選んでも問題ありません。
次に見ていくのが、実際にリキッドを蒸発させる、アトマイザーの部分です。アトマイザーには電流を流して熱を発生させるコイルが入っており、そのコイルに巻かれている綿にリキッドを含ませて、熱で蒸発させる仕組みになっています。
慣れてくると、自分でコイルを巻いて綿を詰めるようになってくるかもしれませんが、最初にVAPEをはじめるときには、既成品のコイルユニットを利用することになります。
スターターキットを購入する際には、利用するコイルユニットが、汎用的で手に入りやすいものかどうかを確認しておく必要があります。特に通販で購入する際など、安いものを購入したはよいものの、マイナーな会社の製品で、コイルユニットが手に入り辛かったり、価格が高かったりする恐れがあります。実店舗で購入される場合は、少なくともそのお店でアフターパーツもサポートされている製品をお奨めしてくださると思うので、特に気にしなくても大丈夫かと思われます。Joyetech、KangerTech、Eleaf、INNOKIN、Aspireなどの有名メーカー品でしたら、まず間違いはないかと思いますが、特に小型の製品などを購入される場合は、通常ラインと異なるコイルユニットを利用していることもありますのでご注意ください。
ちなみに、コイルユニットが大きいと味が良いと言われています。その他、吸い込む空気がアトマイザーに入ってから、コイルを通って口に入るまでの空気の流れ(エアフロー)の通り方によっても味は変わってきますが、この辺りはスターターキットから一歩進んで、新しいアトマイザーを買う際に考えれば十分です。
スターターキットに付属しているアトマイザーには、リキッドを貯めておくためのタンク部分があります。このタンクの容量と、タンクへのリキッドの充填方法にも着目しておきましょう。余り頻繁に吸わない方は、それほど多くのタンク容量は必要ないかもしれませんが、2ml程度は欲しいです。また、充填方法として、以前はアトマイザーを一度取り外した上で、底の部分からリキッドを充填する方法が一般的でしたが、現在は、アトマイザーを取り外すことなく、上部からリキッドを充填できる、トップフィルという機構が多くなってきています。便利な上に、MODとアトマイザーとを分解する頻度が減りますので、機械の寿命という意味でもトップフィルの方が良さそうです。
最後に、リキッド漏れについてです。基本的にはどのVAPEを選んでも、リキッドの漏れは完全には防ぎきれません。ただし、それを少しでも軽減できるように調整することは可能です。
アトマイザーからリキッドが漏れる理由ナンバーワンは、アトマイザーに空気を取り入れる入り口部分からの液漏れです(私調べ)。このため、エアフローコントロールと呼ばれる、吸い込むことのできる空気の量を調節するためのバルブがある場合、それを全閉状態にしておけば、漏れは最低限に抑えられます。更に理想を言うと、タンクからコイルユニットへのリキッド供給量を調整するジュースコントロールと呼ばれる機構が付いている場合は、エアフローコントロールとジュースコントロールを両方とも全閉にしておけば、漏れはほぼなくなると言って良いかと思います。あとは、アトマイザーにリキッドを充填する際などに、コイルユニットの締め付けが弱くなってしまい、そこから漏れてしまうケースもあるようですので、定期的にコイルユニットを締め付け直してあげるのも有効なケースがあります。
構造上、もともと漏れにくい機種や、ジュースコントロールまで付いていても、漏れやすい機種など様々ですが、これは、先人のみなさんのレビューなどから読み解いていくしかないかもしれません(笑)
さて、長々となってしまいましたが、これらの特徴を備えた、初心者向けのスターターキットとしては、EleafのiStick Picoが特にお奨めです。
上記条件をひと通り満たしており、2016年に恐らく最も売れたスターターキットだと思われるため、使い方もネットにたくさん書かれていますし、アフターパーツの入手も簡単です。また、コイルも純正品はもちろんのこと、より美味しく吸うためのセラミックコイルなども販売されています。とりあえず、これを買っておけば間違いはないと思います。
その他にも、Joyetech eVic VTwo Mini with CUBIS ProやKangerTech TOP BOX Mini、SMOK Nano ONEやINNOKIN COOLFIRE4などもお奨めに挙がりますが、情報量や本体・周辺パーツ含めた流通量など含め、2017年初現在では上記iStick Picoをお奨めさせていただきます。
電池が内臓になっているスターターキットを購入される場合は、本体とリキッドを購入すれば、すぐにVAPEをはじめられますが、電池が別売りのものを購入された場合には、充電池を別途購入する必要があります。このとき「ICR」「IMR」「INR」という種類があるかと思いますが、「ICR」というバッテリーは絶対に購入しないよう、ご注意ください。他にもVAPEで利用する充電池には注意事項がいくつかありますので、慣れている方でない限りは、できれば実店舗で、難しい場合には、信頼できるショップで、MODとセットで販売されている充電池を購入されることをお奨めします。
無事購入できましたら、早速のひと吸い! 自分の好みで選んだリキッドをアトマイザーに充填しますが、いきなり吸い始めてはいけません! 充填したリキッドがコットンに染みこんでいくまで、5~10分程度お待ち下さい。十分に染みこんだら、MODから電力を供給して、蒸発したリキッドが口の中に。。。うまい!!!
購入したままの状態で、ファイアボタンを押しても、とりあえず煙を吸うことはできると思いますが、必要に応じて、温度管理ができるコイルユニットへ換装して、温度管理設定をしてみたり、説明書やWebの情報とにらめっこしながら、いろいろ試行錯誤してみてください!
Have a good vape!
なお、リキッドが足りなくなったら注ぎ足して、という感じで吸っていくと思いますが、概ね2~3週間ほどすると、あれ? 味がおかしくなってきた? と思い始めるときがやってきます。これは、コイルやコットンが焦げてきたり焦げたリキッドがくっついてしまったりで、傷んでしまった状態です。こうなると、コイルユニットを新しいものと取り替えてあげる必要があります。
このとき、ついでにアトマイザーを綺麗に洗ってあげるといいですね。しっかり乾いたら、新しいコイルユニットに換装して、改めてリキッドが染みこむのを待ってあげましょう。きっと、また最初のころの味わいに戻ってきていると思います。
電子タバコ初心者向けVAPEスターターキットの選び方の記事は以上です。ご参考になりましたら幸いです。